わたしの京都。vol.1
2022/11/23何度も通って見つけたい、 新しい京都との付き合い方
写真=岡本佳樹 文=大和まこ
せっかく日本人として生まれたからには、歴史と文化が受け継がれている京都を知らないのは残念。 京都を極めたいと感じるようになりました。とりわけ知りたいのは地元の人が愛する場所や通っているお店です。これまで行ったことのある有名なお寺や、予約の取れない人気店といったかしこまった京都ももちろんいいけれど、これからは普段着の京都を訪ねたいと思っています。ここに紹介しているのも自分の足で街を歩いて、出合って、いいと思ったお店ばかり。そのほとんどがご家族で営まれているなど個人店が多いのも京都らしいですよね。以前訪ねたことを覚えてくださっていたり、突然だけど取材の許可をいただけたり。何度も足を運ぶことで生まれる人とのご縁に胸が熱くなったことも。食事も和食と思いがちだけど、中華や韓国料理のおいしい店もたくさん。お気に入りを見つける旅は、まだ始まったばかりです。
ADSRESS 01ここでしか食べられない、できたての粟餅を味わう
いつだってやわらかさに驚く素朴な門前餅
北野天満宮の門前で江戸時代から続く粟餅屋さん。注文すると目の前で手早くちぎって丸 めて、こし餡で包んだものと、きな粉をまぶしたもの、2つの味の粟餅がお皿にのって運ばれてきます。作り置きはせずに注文ごとに作るのは、餅がかたくなってしまうからだそう。 店を切り盛りするのは13代目のご主人と奥 さま、14代目の息子さんだと話を伺ってい たら、自転車に乗ってやって来たのは今年99歳だという12代目の森藤與八郎さん。2年前までは現役だったと聞いて私も頑張ろう、と思いました。元気の秘訣はよく食べて笑うことですって。和やかな雰囲気の中でいただいた粟餅の、ふわりとやわらかいこと。持ち帰り用もありますが、やはりできたては格別。ここでしか食べられない味が贅沢です。
こし餡2個ときな粉1個で合計3個の紅梅¥500。5個の白梅¥650も。湯のみの“あわもち”の文字もかわいらしい。夏は粟餅が入ったかき氷も登場するそう。
楊枝を入れたらやわらかくて思わず笑顔になりました。甘いもの好きの玲児さんがいなくなって、わが家におやつがないこともしばしばですが、やっぱり甘いものって大切ですね。
持ち帰り用の包装も素敵。
きな粉を2個と、こし餡を1個のリクエストもできると教えてもらいました。
粟餅所・澤屋 〔北野〕
京都市上京区北野天満宮前西入 紙屋川町838-7
☎ 075-461-4517
営 9:00〜17:00(売り切れ次第終了)
休 木・毎月26日
ADSRESS 02
晩ごはんの前に、なじみのバーに飲みに行く
京都が好きな友達と来たときに、「よく行くんだよ」と連れてきてもらったのがこちら。 土壁のシンプルな空間で、アンティークのグラスでお酒が飲める素敵なバーです。東京でも食事の前や後にバーに行きますが、ここはお昼の2時から営業していることもあって、 旅に来てふらっと寄るのにちょうどいい。京都に住んでたら通っちゃうだろうな、と思います。気に入っているのは山椒を使ったジントニック。少しスパイシーな実山椒を漬け込んだものと、華やかな香りの花山椒と木の芽を漬け込んだものの2種類があって、ほんのりした甘さがなんともいい感じ。実はうちでも早速真似したんですよ。お気に入りの場所は自分の目で確かめて、味わって見つけたいと、しみじみ思わせてくれるバーです。
壁に飾られているのは陶芸家・辻村 史朗さんのガラス絵。いつも空間を彩る絵や花にも見とれます。
花山椒と木の芽のジントニック¥1320。どんなグラスが使われるかも楽しみのひとつです。
右はジンに実山椒を漬け込んで風味が移ったあと、実を取り除いたもの。左はたっぷりの花山椒と木の芽が入ったままのジン。木の芽のほうは花山椒も入れることが大切と、店主の上田太一郎さんが教えてくれました。ふたつを飲み比べしたくなります。
手書きのメニューも趣があって空間によく合います。
奥には小部屋のテーブル席があります。早い時間に訪ねて、庭の緑を眺めながら過ごすのも気持ちがよさそう。
うえと [東山]
京都市東山区三条白川橋西入ル南側 今小路町91-1☎ 075-751-5117
営 水〜土 14:00〜23:00 (L.O.) 日・月 14:00〜22:00 (L.O.)
休 火 ※月曜夜は予約制