京都ガイドブック『私の京都』
2024/03/13京都ガイドブック『私の京都』製作裏話
写真=伊藤徹也 文=内田いつ子
本誌第2号の別冊付録で好評だった、京都のガイドブック。
さらに取材を重ね、一冊の本になりました。
はじめてガイドブックを手がけた栗原さんと本誌編集長・片岡千晶が製作裏話や見所をお伝えします。
気軽に楽しめる〝普段の京都〟を探して
片 - 栗原さん、京都のガイドブックが発売になりました!
栗 - ようやく一冊にまとまって、私もとてもうれしいです。
片 - そもそも京都の本を作りたいと思ったのは、どうしてですか?
栗 - 私は〝人生でやりたい100のこと〟というリストを何年か前から作っているのですが、京都を知ることは、そのうちのひとつだったんです。今まで取材などで行ってはいるものの、撮影に追われてしまって、時間をかけて話を聞いたり、ゆっくり見て回ることもできなくて。こんなに何度も行っているのに、京都のことをよく知らないのは残念ですし、今からでもいいから、日本の文化や伝統がつまった京都のことを知りたいと思うようになりました。そして京都で自分が好きになった場所は、今後行くときのためにも一冊にまとめておけたら、とこの本ができたんです。
片 - 本誌第2号の別冊付録が出た後も、季節を変えて追加取材をして、まるで旅行のようで楽しかったです。この本のどんなところを見てもらいたいですか?
栗 - 京都は日本の中でも特別な場所で、伝統のあるすばらしいお店や場所がたくさんあります。私が今まで取材で行ったところも、格式のある料理店や高級割烹、有名な観光地でした。ときには非日常を味わえる贅沢もいいと思いますが、一方でもっと気軽に京都を楽しみたい、という気持ちもあって。だから今回は地元の人が通う店や、ひとりでも気軽に立ち寄れる場所も紹介しています。
片 - 京都ではたくさん歩きましたね。そして、栗原さんはおいしいお酒が飲めそうなお店を見つける嗅覚が鋭いです!
栗 - 私のお酒好きをスタッフも分かっているので、けっこう飲みました。夜もはしごして、老舗の居酒屋さんでおなかいっぱいなのにまた飲んで食べて、楽しかった!
片 - そんな楽しさも、写真の栗原さんの笑顔から伝わってきます。別冊付録を持って京都に行った、という読者の方の声もたくさん届きました。一番人気が、うどん屋の殿田だったんですよ。
栗 - 殿田さんは京都駅の近くにある、たぬきうどんが名物のお店です。京都のたぬきうどんは、きざんだ油揚げと九条ねぎが入っていて、つゆがあんかけ。東京のたぬきうどんとはまったく違って驚きましたが、だしのきいた熱々のあんがとてもおいしくて。帰ってきてから自分でも真似して作ってみたほどです。
片 - さすが栗原さん! ほかにも錦市場の定食屋とか、地元の人に人気の居酒屋や立ち飲み屋など、お手頃で気楽に行けるお店がたくさん掲載されています。
栗 - 予約をしないと行けないところもありますが、ふらっと立ち寄れる〝普段の京都〟です。
片 - いわゆるチェーン店ではない、京都らしくてオーナーのこだわりがつまったお店も魅力的でした。
栗 - 京都の小さなお店は、ご夫婦や兄弟など、家族で経営をされているところも多くて、温かい雰囲気やキビキビと働く姿が素敵でした。近所にあったら通いたい、と思ったほど。ほかにも賀茂川の河川敷でピクニックができるセットを貸してくれるカフェや、ボタンの専門店、店主の個性があらわれた本屋など、個人で経営しているお店はこだわりがあって、それがとても楽しかった。お店の方や、隣り合ったお客さんとの会話も印象に残っています。こうした人との出会いも、旅の楽しさです。
片 - この本を読んでくださった方からは「栗原さんのお気に入りの場所を巡りながら、京都を案内してもらっているよう」とか、「次のひとり旅に持って行きたい」という感想もいただいています。
栗 - それはうれしい!
片 - ほかにも、お寺や神社、四季折々の風景なども紹介していますが、栗原さんは京都に行くと、必ず神社仏閣を訪れるそうですね。
栗 - 忙しい日常から切り離されて、おだやかで清々しい気持ちになるんです。本の中で紹介したところは、どこも境内を散策したり、石庭を眺めたりしてゆっくりすごせる場所でした。
片 - 編集をした私が言うのもなんですが、紹介しているお店や場所のひとつひとつに、栗原さんのおすすめの理由や取材のエピソードがていねいに添えられていて、思いが伝わってきました。旅といえばおみやげも欠かせませんが、栗原さんが買って帰ったおみやげリストもありますし、読んでいて私もまた京都に行きたくなりました。
栗 - また行きましょう! ガイドブックを作りはしましたが、私はまだまだ京都初心者です。この本を持って行って、さらに新しいお気に入りを見つけて、書き足していこうと思います。読者の皆さんの京都の旅に、この本がお役に立てたらうれしいです。
京都の旬の食材を使った料理が食べられる正統派の割烹から、バーやお手頃な立ち飲み屋まで、飲食店も幅広く紹介しています。和食、エスニック、中華などジャンルも多彩です。
観光中、立ち寄りたいのがカフェや甘いものを食べられるところ。栗原さんが好きな紅茶専門の喫茶店やピクニックセットを貸してくれるカフェ、老舗のお餅屋さんなども掲載。
京都の散策を楽しむ栗原さんの姿を見ると、旅に出たくなります。京都は美しく整えられた自然が多く、疏水沿いの小道などは散歩にもぴったり。スニーカーで足取りも軽快に。
自分にはもちろん、家族や友達にあげるために、スーパーマーケットや商店街、老舗などで買ったおみやげの数々。京都ならではの食材、お菓子、漬物、小物など、盛りだくさん。
季節を変えて行きたくなるのが京都。春夏秋冬、それぞれの美しい自然の風景も本の見所の一つです。季節感を大切にする日本の文化が、街の中のいたるところで見られます。
京都で必ず立ち寄るという、神社仏閣はキリッとした空気が気持ちいい。お寺や神社に惹かれる理由、すごし方、そして今まで行ったお気に入りの場所をリストアップしました。
『私の京都』
飲食店、スーパー、神社仏閣、カフェなど、老舗から新しくオープンしたところまで、全58スポットを掲載。散歩コースにぴったりなエリアも紹介しています。¥1760/講談社
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