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「寂しくても、楽しく。」 人生を変えたレシピ

第7回 かにかまとアボカドの裏巻きずし

写真=阿部 健 文=内田いつ子

海外へと仕事が広がるきっかけとなった料理

この料理は、2004年に私がはじめて海外で出版した『Harumi’s Japanese Cooking』という本で紹介しました。当時は、海外で日本料理といえば天ぷらや寿司くらいしかなかった時代で、日本の家庭料理はほとんど知られていませんでした。
出版後すぐに、本の宣伝のためにイギリスやアメリカ、ドイツなどいろいろな国をまわり、各地でマスコミの方向けのイベントを行いました。そのときにデモンストレーションで作ったのが、この裏巻きずし。アボカドは、カリフォルニアロールなどにも使われる、海外でも人気の食材です。しかも火を使わず少し時間が経ってもおいしく食べられるので、デモンストレーションにはぴったりで、大好評でした。
イベントでは、私が作り方を見せるだけでなく、参加した方たちにも一緒に作ってもらいました。手順などを英語で説明するのですが、あまり話せなかったので、必死で丸暗記。通訳の方がいないことも多く、いても私が言いたいことがうまく伝わらないなど、もどかしい思いもしました。この経験があったからこそ、「自分のレシピは自分の言葉でちゃんと伝えたい」と思うようになったのです。
それから先生について英語のレッスンを受け、なんとか料理の説明はできるようになりました。そして英語で伝えられるようになったことで仕事の幅も広がり、NHKの海外向けの番組で、外国人ゲストに日本の家庭料理を教えるという、料理番組『ユア・ジャパニーズ・キッチン』に出演が決まったのです。
裏巻きずしは、まさに海外で仕事をするきっかけとなったレシピ。英語の勉強は、これからも細く長く続けていきたいです。

材料(6本分)
カップ2
すし酢
 酢カップ½
 砂糖大さじ2
 塩小さじ¾1
かに風味かまぼこ…18
アボカド…12
青じそ…9
マヨネーズ適量
焼きのり…3
炒り白ごま適量
おろしわさび適宜
しょうゆ適宜

作り方
1 米は洗ってざるに上げ、約15分おいて水けをよくきり、同量の水を加えて炊く。
2 ボウルにすし酢の材料を合わせ、砂糖と塩が溶けるまでよく混ぜる。
3 炊きたてのご飯にすし酢を加え、切るように混ぜて粗熱を取る。
4 アボカドは種と皮を除き、くし形に810等分する。
5 青じそは縦半分に切る。
6 焼きのりは半分に切る。
7 クッキングシートを焼きのりより少し大きめに切る。巻きすにクッキングシートを敷き、のりをのせる。3のすし飯の量を、のりの端まで隙間を埋めるように広げ、裏返す。
8 のりの中心より少し手前にアボカドを一列に並べ、青じそ3枚を重ねる。端から具が少しはみ出るくらいにのせるときれいに仕上がる。青じその上にマヨネーズ小さじ1を塗り、かにかまを3本のせる。


9 手前から具をひと巻きして軽く押さえ、クッキングシートを巻き込まないように持ちながら端まで巻く。巻き終わりを下にして軽く押さえ、巻きすとクッキングシートを外す。


10 平らな皿にごまを広げて9を置き、ゆっくりと転がして表面にまんべんなくまぶしつける。残りも同様に作る。


11 よく切れる包丁で1本を6等分に切り分けて器に盛り、好みでわさび、しょうゆを添える。