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「寂しくても、楽しく。」学びの時間

第二回  包丁研ぎをめて

写真=阿部 健  文=内田いつ子


料理家だから、正しい研ぎ方を知っておきたい
包丁は私の仕事には欠かせない大切な道具です。包丁が切れないと料理はきれいにできません。例えば私の大好きなトマトは切るのが難しい野菜です。 包丁が切れないと、形がくずれたり、 水分が出てしまったり。切れ味をよくしておきたくて、研ぎ方を習ったこともありましたが、なかなか覚えられま せんでした。つい簡易包丁研ぎ器に頼っていたのです。料理家なのにそれではいけない。自分で研げるようになりたくて、改めて包丁研ぎのプロを訪ねました。今回、私に教えてくださったのは、 かっぱばし調理道具の街、東京・合羽橋で包丁の専門店「かまた刃研社」を営んでいる鎌田晴一さん。まもなく創業100周年を迎える老舗の3代 目です。「かまた刃研社」さんでは、毎月第1・第3土曜日に包丁研ぎ教室を開催していますが、一般の方はもちろん、プロの料理人の方が参加されることも多いそうです。中には、有名なうなぎ店の店主がいらしたこともあったとか。ご高齢の方で 、「若い人に教えたいけど、よくわからないから」と習いにいらしたそうです。いくつになっても学ぼうとするその姿勢は素晴らしいですよね。

実際に習う前に、切れない包丁でコピー用紙を切ってみました。キコキコと音がするほど切れないし、切る力も必要です。2〜3ヵ月研がずに使い続けると、こんな状態になるのだそうです。それが先生に習った方法で研いだら、力を入れずにスーッと切れるようになったのにはびっくり。切れる包丁って、本当に気持ちがいいです。ステンレスの洋包丁と、魚などをさばく出刃包丁など和包丁との構造の違い、砥石の選び方や、砥石に包丁をあてる角度や研ぎ方、そして砥石以外で仕上げ研ぎをする方法など、今まで知らなかったことや、思い違いをしていることも多く、とても勉強になりました。そして意外な発見は、集中して包丁を研いでいる時間は無心になれること。家に帰って自分の持っているいろいろな包丁を研いでみるのが、楽しみになりました。


ステンレスのれない三徳包丁が用意されていました

砥石包丁基本について講義中。

講義ているだけでしい。忘れないようにメモします


 

わせた荒砥ぎの砥石からめます。硬貨が1〜2枚入程度、包丁けて

砥石砥粒(とりゅう)が包丁につくのはげている証拠。

砥石えて中研ぎに

仕上げは包丁で新聞紙をなでるように


見事にスパッとれました!

SHOP かまた刃研社
入門編のクラスは原則、毎月第1・第3土曜日に開催。
お申し込みはWEBサイトから。受講料は¥5000。
東京都台東区松が谷2-12-6
☎03-3841-4205
https://www.kap-kam.com