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「寂しくても、楽しく。」思い出の器

第七回 ニースで見つけたピッチャー

写真=山口恵史  文=山野井春絵 

 

オリーブグリーンの色に南仏の風景を思い出します

今は、車の運転はしていませんが、以前は自分で運転して、どこへでもドライブを楽しんでいました。好きな音楽を聴きながら、車のなかでひとりの時間をすごすのも、いい気分転換になっていたと思います。
20年ほど前、とある自動車メーカーから声をかけられ、当時新発売だった自動車のイメージキャラクターを務めたことがあります。テレビCMの撮影は、南フランスのニースで行われました。
南フランスでもとくにイタリアに近いニースは、地中海に面した明るい街。青い海岸、コート・ダジュールを、日本のかわいい軽自動車に乗った私がドライブする、というシーンを撮影しました。この仕事の合間に街を散歩しているとき、ふと小さな雑貨屋さんに立ち寄り、そこで見つけたのがこの3つの小さな器です。
オリーブグリーンが印象的な陶器のミルクピッチャーが二つと、七宝焼の薬味入れ。薬味入れにはさらに小さなスプーンがついています。南フランスらしいデザインに、思わず一目惚れしました。ピッチャーには、はちみつやミルクを入れて、紅茶と一緒に。薬味入れは、どことなく東南アジアっぽさもあるので、エスニック料理に合わせることもあります。
何も入れずに、ただ飾って器を見ているだけでも、コート・ダジュールの景色と、運転していたときの気持ちを思い出す、大切な宝物です。久しぶりに南フランスを旅してみたくなりました。