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「寂しくても、楽しく。」飲み友達と乾杯

第7回 ジョージ・ウィリアムズ(DJ)

栗原さんが親交のあるゲストを迎えてお届けする対談。飾らない会話から、ゲスト、そして栗原さんの素顔が垣間見えます。第7回はDJのジョージ・ウィリアムズさんです。

写真=阿部 健  文=内田いつ子


海外向けの料理番組ですごく助けてくれたのがジョージくん

栗 - ジョージくんとのおつき合いはだいぶ長くなるね。

 - 久しぶりにお会いしますが、僕は栗原さんのインスタグラムを妻とよく見ているので、久しぶりな感じはしないんです。栗原さんとはNHKワールドJAPANの『ユア・ジャパニーズ・キッチン』という海外向けの料理番組でご一緒しました。はじめてお会いしたのは僕が30代半ばのころ。今53歳なので、20年近く前になるんですね。

栗 - そうそう。ジョージくんにはすごく助けてもらいました。その番組は世界各地で放映されていて、ジョージくんと私が日本の家庭料理を英語で紹介する、という企画だったのよね。


 - ここのキッチンでもたくさん収録しました。

栗 - ご飯の炊き方やだしの取り方、みそ汁、豚のしょうが焼き、肉じゃが、コロッケなどたくさん作ったよね。

ジ - 沖縄や北海道、高知や新潟など、日本各地にも一緒に行って、その土地の食材で郷土料理を作ったりして、本当に楽しかった。かつお節のことを英語では「Bonito flakes(ボニート ・フレイクス)」っていうことを知ったり、栗原さんと一緒にいろんなことを体験した時間は、僕にとって今でも宝物です。当時、小学生だった娘も番組に出演して、栗原さんに料理を教えてもらったから、彼女は今、とても料理が得意なんですよ。

栗 - 娘さん、とてもかわいかったね。番組は楽しかったけど、当時、英語を勉強してはいたものの、話すのは大変だった。

- 僕とちゃんと英語で会話してたじゃないですか。

栗 - NHKの方に声をかけていただいたとき、はじめはお断りしていたの。夫が英語を話せたから、海外に行っても彼に頼って勉強してこなかった。「英語ができなくても大丈夫ですから」って言われて、引き受けることにしたのだけど、ふたを開けてみたらやっぱり英語で料理の説明をしなくちゃいけなくて、そこからが大変! 必死で勉強したの。別の番組ですごくいい英語の先生に出会って、この番組をやりながら、5年間、その先生に教えてもらいました。朝7時から30分、毎日勉強して、それで料理の作り方を英語で伝えられるようになったの。

ジ - 5年間、毎朝! それはすごい。


栗 - そのころは必死だった。でもがんばって勉強したおかげで、英語で自分の料理を伝えられるようになって、その後ハワイの大学へ日本の家庭料理を教えに行くことになったり、思いもよらない方向へ道が開けたの。あのとき勉強して、本当によかったと思っています。

 - 栗原さんの集中力はすごいですよね。最近ギターを習っていると聞きましたけど。

栗 - いい先生とめぐり会って練習しているんだけど、これがすごく楽しくて!

 - その話を聞いて、人っていつからでも新しいことがはじめられるんだなって、すごく刺激になりました。情熱を持ってやることがあると、人って輝きますよね。

栗 - ギターはね、今の私の大きな支え。集中して練習する朝の時間を、とても大切にしています。

 - いいですね! はじめてのことって、最初はちょっと踏み出しにくい。たとえば些細なことだけど、ひとりで食事に行くとか、旅に行くとか、やったことがなければ二の足を踏む。でも勇気を出してやってみると、新しい発見があるんですよね。栗原さんはそれを手に入れたんだと思う。この雑誌を読んでいる読者の方も同じで、一歩踏み出してみると、新しい出会いや人生を豊かにするものが吸収できるんじゃないかなって。行動したら、新しい世界が見える。栗原さんの話を聞いていると、いつもそう思うんです。

栗 - 人生、楽しいほうがいいわよね。

 - 僕もそう思います! 僕に刺激を与えてくれているまわりの方々は、楽しく生きている人たちばかり。栗原さんも間違いなくそのひとりです。会うとやる気の種が脳の中にまかれる感じ。そしてこれが育つんですよ。栗原さんは、みんなの心に種をまいていますね。

栗 - そうだとうれしい。ジョージくんは音楽がすごく詳しいから、今度私のプレイリストを見てもらって、もっといい曲があったら教えてくれる?

ジ - もちろん! 僕は音楽を作る才能はなかったけど、紹介する才能はあるんです(笑)。

栗 - ラジオで音楽番組をするとか、また何か一緒にできるといいなあ。


ジョージくんへのおやつはチョコレートシフォンケーキ。チョコのクリームと削ったチョコをのせました。カフェ・オ・レと一緒に。

GUEST ジョージ・ウィリアムズ


イギリス人の父と日本人の母をもつバイリンガル。17歳でラジオパーソナリティとしてデビュー。音楽に造詣が深く、35年以上ラジオやミュージックビデオ番組のDJ、VJ、またアーティストへのインタビュアーとして、音楽シーンの最先端で活躍。その明るく楽しいバイリンガルのトーク術が、バラエティ番組やスポーツ番組、英会話番組などで好評を得ている。
インスタグラム @kungfugeorge