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自分のために花を飾る。

自分のために花を飾る。

写真=木寺紀雄  文=仁田恭介


花を飾ることは、私にとって生活の一部。無理をせずに楽しむ工夫を紹介します。

結婚したころ、働くようになったら、自分が好きなときに好きな花を飾る生活をしたいと思っていました。
毎週日曜日には、仲良しのお花屋さんと一緒に、庭の花やハーブ、野菜の手入れをしています。2年近く庭仕事をていねいに続けているので、知識も増えて少しずつ植物のこともわかるようになってきました。
切り花の手入れも日課です。正しいかどうかはわかりませんが、氷を入れてみたり、庭に出して外の空気に当ててみたり。花の状態を見ながら、自分なりに工夫をして、一日でも長く花と一緒にいられるよう、大切にしています。先日買ってきたマーガレットは、1ヵ月も楽しめました。
花は自分のために飾っているので、飾る場所はとくに決めていません。気持ちのおもむくままに、花も場所も選んでいます。大切にしているのは、自由に生けること。そして花を思いやる気持ち。皆さんも無理をしないで、花のある生活を楽しんでみませんか。


玲児さんのお母さんからいただいたガラスピッチャー。繊細な取っ手、青のグラデーションがきれい。とても大事にしています。ブルーのデルフィニウムを飾ってみました。

01 作り込みすぎず、個性を活かして


花の飾り方は、誰かに教わったわけではなく、自己流です。ずっと大事にしているのは、花本来のありのままの美しさを引き立たせること。形を決めずに、できるだけ自然のままを心がけています。例えばカスミソウは、マトリカリアといっしょにふわっとまとめるだけ。あえて長さをそろえずに花器に入れたり、枝ものを無造作に挿したりするだけでいいのです。お花屋さんで花を買うときは、茎は長いままで、切らないようにお願いしています。


カスミソウとマトリカリアは、可憐さと素朴さがあって、大好きな花です。やさしく軽やかに束ねると、ふんわりとしてよりきれいに。ハーブを入れてもいいと思います。

02 少しだけ買って、長く、たくさん楽しむには

花を飾ることに慣れていなかったり、難しそうと思っている人におすすめしたいのがトルコキキョウです。理由は、ボリュームのある花が一本の茎にたくさんついているから。買ってきたトルコキキョウをまずはそのまま、背の高い花器に生けて飾ります。何度も水あげをしているうちに茎が短くなってきたら、花を切り分けて小さな器に移し替えると、花の表情が違って見えるので、飽きずに長く楽しめます。

 

トルコキキョウの花を切り分けて、10cmほどの高さのガラスの器に生けてみました。大きく波打つフリル状の花びらがきれい。蕾の淡いグリーンの色みも好きです。

買ってきた花は、まずは大きな琺瑯のバケツに入れて。今回はたくさん買いましたが、1本だけでもいいと思います。難しく考えすぎず、気に入った花を選んでみてください。


わが家の象徴的な花、マリーゴールド。庭からちょっと切ってきて、ミルクピッチャーに飾りました。ソーサーにはクッキーを添えて。香りもよくてティータイムが楽しくなります。


03 花を飾る器は、思いつくままに

花を飾る器は、花器にこだわらなくてもいいと思っています。シャンパングラスでもいいですし、マグカップだっていい。ワインボトルを一輪挿しにすることもあります。合うと思えば、ガラスピッチャーに飾ったり、香水の空き瓶、ミルクピッチャーも使ったりしています。いつも同じ器だと飽きてしまうので、使い道にとらわれず、好きなものに飾ってみるのが花を楽しむコツかもしれません。

 

普段は料理道具を整理するために使っているポットに、レースフラワーとリキュウソウ、そしてマダガスカルジャスミンを。茎は短くせず、しなだれたニュアンスに。

トイレにはとても気に入っているアンティークのラリックの香水瓶を。リューココリーネは茎を切らず、長い状態のままで生けました。小さなふたもそばに置いて。

04 飾る場所から飾り方を発想する

キッチンに飾るなら、料理に使えるハーブがいい。専業主婦の頃に思いついたのがハーブをリースにして飾るアイデアです。爽やかな香りのレモンマートルは、ハーブティーとして飲んだり、エスニック料理に使ったりするので、キッチンスペースにあると便利です。レモンマートル以外なら、ドライになるローズマリーもおすすめです。トイレに飾るなら、香りがいい花やハーブを。玲児さんが好きだったジャスミンを飾ることが多いです。

 

園芸ショップで手に入るネットをくるくると巻いて麻紐で縛り、網目に葉を挿したもの。料理をしているときにすぐ手に取れるよう、キッチンの棚に引っ掛けています。

05 花を最後まで楽しむアイデア

生けた花は毎日1cmくらい茎を切って水あげをして、ていねいに手をかけています。しばらく飾ったあと、弱ってしまった花は、最後にもう一度元気になってほしいという思いを込めて、花の部分だけをはさみで切って、庭にある水鉢に浮かべています。太陽が差し込むと、水面がキラキラと光り、風が吹くと揺らいで、その風景が本当にきれいです。そうやって、最後まで花を大切にして楽しんでいます。

 

茎が折れてしまったマトリカリアの花を集めて水鉢へ。適当に入れてしまうと、沈んだり、ひっくり返ってしまうこともあるので、一つ一つていねいに浮かべていきます。