気を遣わせない贈り方、贈り物
2022/06/08お返しの気を遣わせることがないよう、相手が喜ぶものを贈りたい。
大切なのはさり気なさと、
その人が使うシーンを想像して組み合わせること。
そして、手作りのものを添えること。
写真=伊藤徹也、山口恵史(静物) 文=仁田恭介
そのまま楽しめるようお皿やカトラリーもセットに
焼いたパンだけではなく、食べるシーンをイメージして、手作りした季節のジャム、白いお皿、ジ ャムを入れる器、バターナイフを一緒に贈ります。 ジャムの瓶はふたを布で覆ってから紐でくるり。
手間を面倒と思わず 自分らしく楽しむこと
人に何かものをあげるのが好きなので、相手の喜ぶ顔を想像しながらあれこれ選んでいる時間が何より楽しいです。でも、贈り物ってさじ加減が難しいですよね。こだわればこだわるほど、お返しをしなくちゃって、相手に気を揉ませてしまいます。では、どんな贈り物がいいのか、どう贈ればいいのか。私がずっと心がけているのが、とにかく普段通りで、かしこまらないこと。張り切って、特別なものをわざわざ買うということはしません。贈り物というより、感覚としてはお裾分け。「今朝パンを焼いたのでどうぞ〜」と言われたら、誰だって気負いなく「いただきます」ってすぐ受け取れるでしょう ? 自家製のシロップやソースなどもそう。花も、フラワーショップに足を運ぶのではなく、庭に咲いているハーブを摘んでブーケにします。衣類や調理器具を贈る時も高価なものではなく、普段使いできるカジュアルなものを。スニーカーソックスや、コンパクトで使い勝手のいいサラダスピナーなど、よく贈るものは、いざというときに焦ることがないよう、自宅のお土産ストックコーナーに常備しています。
仕事場に作ったラッピングコーナー。収納バーにはリボンや紐を通しているので、使う時はくるくる引き出してカットするだけ。包装紙やカード、シール類もさっと取り出せるようにしています。
そして、個人的に大事にしているのが、使うシーンを想像して組み合わせること。単品で何かを贈ることはほとんどありません。例えば、ケーキやクッキーをあげる時、おいしい紅茶のティーバッグを一緒に添えたら、その時間がより充実したものになりますよね ? 白ワイン好きには、私の好きなたまりじょうゆのおせんべいをセットで。そうめんやうどんを贈る時は、薬味をすってそのまま食卓に並べられるかわいいミニおろしを。料理を始めたばかりの人には、フッ素加工で使い勝手のいい16cmの深型フライパンと、簡単に作れるチャーシューのレシピなどを一緒に。そうして組み合わせると、贈られた方にもわかりやすくて喜ばれます。 そして最後に、包み紙や結ぶ紐を 選ぶひと手間で、感謝の気持ちが伝 わります。ギザギザに切れるハサミでカットした布を巻いて紐でキュッと結ぶくらいのお手製がちょうどいい。ミシンで縫った布袋に入れることもあります。添える手紙はメッセージカードやマスキングテープにペンでひと言。それぐらいが相手に気を遣わせない気がしています。手間を惜しまず、自分らしさをさりげなく表現すること。それが、贈り物を楽しむ秘訣だと思います。