プレビューモード

「寂しくても、楽しく。」学びの時間

第五回  オムレツの作り方を習う

写真=阿部 健  文=山野井 春絵

 

シェフのようにふんわり、トロッとしたオムレツを作りたい

料理家が料理を習う? 今回は、皆さんびっくりされたかもしれません。料理学校に通ったことも、店で修業をしたこともないので、私が作るオムレツはあくまでも家庭の味。フランス料理のような、中がトロトロのオムレツは憧れです。これも、若いころに誰かに作り方を聞いておけばよかった、と心残りだったことのひとつなのです。この機会に思いきってプロに習ってみよう。そう思いついたら、善は急げ。いくつになっても、知らないことを覚えるのは楽しい。さっそく行きつけのビストロに。

自宅から遠くない場所にある「ビストロカニッシュ」は、オープンして5年。こぢんまりとして、カウンターも居心地がよく、ワインとおつまみだけでもふらっと寄れる気軽さがいい。オーナーシェフの篠原達生さんが、今回の私の師匠です。無口でちょっぴり恥ずかしがり屋ですが、手取り足取りやさしく教えてくれました。
まずはフライパンに布巾を入れて、振る練習を。なかなか難しい! フライパンの柄を拳で上から叩いてひっくり返す動作を想像していたのですが、これは逆でした。実際は、下から上へあおっているフライパンの柄を拳で止めるようなイメージです。何度か練習をしたら、いよいよ卵を割って焼いてみます。1回目は、思っていたよりも上手にできましたが、少し表面にシワが。食べてみると、シェフのオムレツよりも、中身がかたいような……。

「まわりにきちんと火が入っていれば、中身が半熟でも火から下ろした時点でそれ以上固まらず、冷めてもトロッとします。風船のようにふわっと守ってくれるんですね。フッ素樹脂加工のフライパンならくっつかないので、火から離して落ち着いてやれば大丈夫ですよ」とシェフからのアドバイス。それから何回も作るうちに、手際もよくなり、形もそれなりに上手になりましたが、思うようなトロトロ加減に作るのは難しい。これはまだまだ特訓が必要です。理想のオムレツが作れるようになるまで、何度も家で練習しようと、心に決めました。

 

1 | 篠原シェフと動きの確認。
2 | オムレツ1人分の材料は、卵2個、牛乳大さじ½、塩こしょう少々。よく混ぜて一度こすのがコツ。
3 | フライパンを熱したらぬれ布巾にのせて冷まし、バターを入れる。
4 | 卵液を流し入れ、上下にフライパンをゆすりながら外から中へ菜ばしで混ぜる。途中でゴムべらに替え、扇状に卵を寄せる。
5 | 下からフライパンの柄を拳に当ててひっくり返す。
6 | 再び返し、お皿に盛る。
7 | さて中身は……。
一緒に試食。楽しかった!

RESTAURANT ビストロカニッシュ
東京都品川区上大崎2-18-25 1F
☎03-6303-9287
営業時間 12:00~14:30(L.O 13:00)
     18:00~23:00(L.O 22:00)
     ※ランチは土・日のみ
定休日  月(不定休あり)
https://www.bistrocaniche.com