「寂しくても、楽しく。」人生を変えたレシピ
2023/01/04人生を変えたレシピ
第3回 カッテージチーズのスコーン
写真=木寺紀雄 文=内田いつ子

私が初めてスコーンを食べたのは、30年ほど前に『ソフィア』という女性誌の取材で玲児さんと一緒に旅をした、オーストラリアのタスマニアでした。12日間という長い旅で、タスマニア島の雄大な自然の中で野生動物を見たり、草原でランチをしたり、ホームパ ーティにもたくさん招いてもらいました。私も現地のお宅で日本食の講習会を開 いたり、とても楽しい時間でした。
あるホームパーティで出合った初めてのスコーンの味は今でも忘れられません。 パンでもなければビスケットとも違う。口の中でくずれる不思議な食感は私のお菓子の概念を変えました。 作り方を教えてほしいとお願いし、習ったレシピがもとになっているのが、今回紹介するスコーンです。タスマニアで食べた味を再現して、私が最初に作ったカッテージチーズ入りの復刻レシピ。ホロッとした素朴なおいしさです。今は、イギリスに行ったときに食べた味をもとに、生クリームを入れて作ったり、私のスコーンのレシピも進化しました。 おいしく作るポイントは、 小さく切った冷えたバターを使って、粉類とバターが さらさらに混ざるようにすばやく作業すること。時間がかかると手の熱でバターがやわらかくなって生地がだれてしまいます。作る前に材料をすべて計量して用意し、粉を混ぜてから型で抜いて天パンに並べるまで、10分以内を目標に。クロテッドクリームをたっぷり添えて、メープルシロップをかけて食べてください。
●材料(直径7.5cm・約4個分)
薄力粉 ... 250 g
ベーキングパウダー ... 大さじ 1
砂糖 ... 大さじ 1
バター...50g
カッテージチーズ(裏ごしタイプ)... 50g
卵...1個
牛乳...大さじ3
クロテッドクリーム ... 適量
メープルシロップ ... 適量
●準備
・バターは小さく切り、使う直前まで 冷蔵庫に入れて冷やしておく。
・オーブンは 180°Cに予熱する。
●作り方
1 ボウルに薄力粉、ベーキングパウダー、砂糖を入れ、全体をよく混ぜる。
2 1 にバターを加え、指先で粉類にもみ込み、さらさらの状態にする。
3 2 に卵、牛乳、カッテージチーズを加え、粉っぽさがなくなるまで手で混ぜたらひとつにまとめる。
4 打ち粉(分量外)をふった台に出し、手のひらで押さえながら 3 cm厚さにのばす。スコーン型やコップなどで抜き、残った生地はもう一度まとめて型で抜く。
5 天パンにクッキングシートを敷いて4を並べ、180°Cのオーブンで15~20分焼く。
6 焼き上がったら器に盛り、クロテッドクリームを添え、メープルシロップをかけていただく。