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「寂しくても、楽しく。」学びの時間

第六回 筆ペンできれいな文字を書く

写真=阿部 健  文=山野井 春絵

 

人前で、自信を持って名前を書けるようになりたい

「栗原さんが書く文字には味がありますね」。ありがたいことに、そう言われることもあるのですが、実は、自分の字に長年コンプレックスがあります。「私らしい字」でも、「上手な字」ではないと思うからです。ご祝儀袋や芳名帳に名前を書くときは、いつでも緊張します。誰かが見ている前でも自信を持って筆で記名ができるようになりたいと、美文字教室を訪ねました。

教えてくれたのは、書道家の長谷川翔波さん。向かい合わせに座ると、「まずは一度、いつものように名前を書いてみてください」。筆ペンを持つ手が、つい震えます。「とくに芳名帳は一発勝負ですから、僕も今でも緊張しますよ」と声をかけてくれたので、少しリラックスできました。いつも漢字の苗字はうまく書ける気がするのですが、ひらがなの「はるみ」のバランスを取るのが難しく感じます。「書く姿勢が素晴らしいです。栗という字もいいですね。はらいはとても上手なので、筆の角度と中心線を意識すれば、すぐに整うと思いますよ」。最初の添削は、まずまずといったところでしょうか。

「ひらがなは、元になっている漢字を知ることが大事です。はるみなら、『波・留・美』」。用紙に記された線を中心に取って、今度はお手本通りに練習してみます。これまで自分が正しいと思っていたひらがなの形とは違う部分が多いので、驚きました。教えられたポイントに注意しながら何度も書いてみると、なるほど、と納得。我ながら、短時間でどんどん上達しているような気が。「うん、いいですね。全体のバランスがしっかり整ってきました。では、せっかくなので、ご祝儀袋に書いてみましょうか」。中心線がある練習用紙は書きやすかったのですが、真っ白なご祝儀袋はやっぱり緊張します。「鉛筆で薄く線を引いておいて、後から消せばいいですよ」。なるほど、それならと書いてみると、今までとは違う、大人っぽい字を書くことができました。うれしい! 本番でも堂々と今日のような文字が書けるように、家でも練習するつもりです。

 

1 | 字が上手な人にずっと憧れてきました。今からでも挑戦したい。
2 | ご用意いただいた楷書体の「栗原はるみ」。
3 | やっぱりひらがなは難しい。
4 | 気さくにお話ししながらのレッスン。楽しくて、あっという間に時間がすぎました。
5 | 長谷川さんは28歳。小学生から80代の方まで、たくさんの生徒さんがいるそうです。
6 | ほめられて、うれしい私。
7 | 朱墨汁で添削してもらうのは何年ぶりでしょうか。
8 | ご祝儀袋への苦手意識がなくなるかも。 

 

LESSON
東京 美文字書道教室新宿
ペン字美文字や毛筆の基礎から、経験者には師範取得までをサポートしてくれる教室。
体験レッスン¥1000は、ホームページから予約を。

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